Mikako

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症例 鼻炎とアトピーのB君(11歳)

来訪時の様子お母さんと一緒に来訪しました。ホメオパスの質問に対して自分から答えることはなく、ほとんどお母さんが答えていました。お母さんにずっと同席して欲しがりましたが、退席してもらった後は、ようやく自分から少しずつ質問に答えるようになりました。物静かな感じの男の子です。セッションの間ずっと足をぶらぶら動かしていたのが印象的でした。聞き取り1)生後二、三ヶ月の時に脂漏湿疹(しろうしっしん)になり、4歳ごろから鼻炎が始まった。2)その後も毎夏、鼻炎と中耳炎にかかり、風邪をひくたびに鼻の状態はひどくなり、しまいにはつねに口を開いている状態になった。3)寝ている時には無呼吸になる4)冬の乾燥するときにはアトピーが出る。アトピーは最初、背中から始まり、かくと痒みは治まるが、だんだんと二の腕やももにまで広がっていった。赤ちゃんの時にステロイドを使用したことがある。このアトピーにもステロイドを使用している。5)腎盂腎炎(じんうじんえん)の病歴。6)斜視と色覚異常もある。7)成長過程において話し始めは早かったが、滑舌が悪く、自分の名前がはっきり言えなかった。その他約14項目の聞き取り...・ふだんボーッとしたり考えごとをすることが多く、学校でも先生の質問に対してユニークな答えを言うことがある。・お父さんとはあまり話をしない。絵画教室に通っていることに関して「お父さんにはわかってもらえないきがする」。・怖いものは暗闇と幽霊。など聞き取り後、選んだレメディ ジンカム [Zincum]ジンカムは亜鉛からできたレメディです。鼻や視覚に問題を持ちやすく、音や人の声に敏感で無口な傾向があります。足の落ち着きのなさも特徴のひとつです。痙攣(けいれん)や引きつりの症状が見られる場合もあります。父親が支配的なことも多くの症例で見られます。ジンカムは、発疹が強く抑圧されると、神経系に影響を受けて興奮状態や落ち着きのない状態になることがあります。また、感情を抑えると夢遊病になったり、怒りを抑圧すると震えや脱力が生じることがあります。著書に続く...レメディ投与後の様子B君にはジンカムを三回摂ってもらったところ、症状が好転しました。約一年後に再び症状が見られたので、今度は同じジンカムのより高いポテンシーを摂ってもらいました。その後、症状がなくなったのでセッションを終了しています。B君はもう病院に頻繁に通うことなはなく、薬を頻用することもありません。お母さんによると「以前はなんでも人に聞かないとできない、親に言われないとやらないタイプでしたが、セッションが終わる頃には、とりかかるのが遅くても着々とやれるようになりました」とのこと。セッションを受けていた期間は、ちょうどB君が思春期に差しかかった頃で、著しい心身の成長が見られる時でした。こういうとき、適切なレメディは成長の後押しをしてくれます。

症例 夜尿症のD君(14歳)

来訪時の様子お母さんと並んでぴったりと座っていました。ホメオパスの質問に対してなかなか答えようとしません。答えるときには、お母さんの顔を見て確かめるようにして答えていたのが印象的でした。年齢の割にやや小柄な感じです。聞き取り1)中学生になってもまだおねしょが続いている。近々修学旅行に行くので、それが心配。2)赤ちゃんの時からずっとお母さんにべったりだった。3)二歳くらいで断乳しようとしたら、ものすごく泣いて反抗した。4)成長は遅い方だった。歯の生え変わりもの遅かった。5)幼稚園に行く頃は、やや人見知りだった。6)人前に出るとお母さんの手をぎゅっと握って離さない。おかあさんのかげに隠れた。7)いったん泣き出すといつまでも泣き止まない。何をやってもだめ。8)小さい頃、熱性痙攣(ねっせいけいれん)があった。救急車を呼んだこともある。9)兄弟(男の子5人)の中では好戦的。とくに三歳年上の兄とはすぐに喧嘩になる。10)家の外では面倒見がよい。友だちがたくさんいる。11)怖いものは、お化けと暗いところ。12)好きな食べ物は甘いもの。嫌いなものはとろろなどネバネバしたもの。聞き取り後、選んだレメディ プルサティーラ [Pulsatilla]プルサティーラタイプの子どもは注目を必要とし、やさしく愛情あふれる保護を求めます。女の子だけに合うレメディに思われるかもしれませんが、実際は男の子にもしばしば使われます。このタイプの男の子はとても繊細で穏やかです。優しい庇護を求め、13歳の男の子がお母さんの膝の上に乗ることも珍しくありません。あたたかさと庇護を必要とすることから、人と仲良く集うことが大好きです。"居心地がよい"という言葉を好んで使います。必要な注目が得られれば心地がよく、そういうところで彼らは水を得た魚のように振る舞います。注目と庇護が何にも増して必要なので、それらが得られない場合は孤独感が募って自爆自棄(じぼうじき)になることもあります。孤独感の強い十代のプルサティーラタイプの子は異性にはけ口を求めようとすることがよくあります。レメディ投与後の様子レメディを摂取した直後にのどの痛みや発熱が見られましたが、すぐに治りました。レメディを摂ってからお兄ちゃんと喧嘩することがなくなったようです。夜間に排尿することが完全になくなったわけではありませんが、頻度はぐんと減りました。修学旅行も大丈夫でした。まだ夜尿(よばり)が少し続いてるので、二回目も同じプルサティーラを摂ってもらいました。三回目のセッション時には、D君が一人でやってきました。夜尿の回数もどんどん減って、今ではたまにする程度になりました。いぜんはお兄ちゃんに絡まれたり、学校で友人たちに何か言われるとすごく"ムカついて"すぐに喧嘩になりましたが"もう相手にしない"ようになったと言います。夜尿症もほとんど治り、一人でセッションに来るなど精神的な成長も見られたので、レメディは出さずにセッション終了にしました。思春期のお子さんの成長ぶりには目を見張るものがあります。生命色が非常に旺盛な時期なので、こうした時期にホメオパシーを使うと心身の問題が早く解決されることが多いです。D君もそういうケースのひとつだったと言えるでしょう。

症例 突発性難聴のL美ちゃん(12歳)

来訪時の様子L美ちゃんは中学受験を目前に控えた12月に突発性難聴になりました。病院で検査を受けたところ「聴力に問題はない」と言われましたが、人の話が聞こえないといろいろ困るため、ホメオパシーのセッションに来ました。聞き取り1)中学受験に向けて、週五日間塾に通う他に3歳から始めたチアリーディングと英会話も続けている。2)「忙しくしている自分が好き。忙しくしていないと、前に進まなくてはいけないのに進んでいない気がする」また、「時間を無駄にするのはイヤ。同じ時間の中で宿題だけでなく、宿題と友だちと遊ぶのと両方やりたい」。3)勉強、チアリーディング、英会話のいずれにおいても常に目標を決めて、それを達成しようと頑張っている。4)チアリーディングでは一番目立つ位置が好き。人前で話すことも好きで、うまくできたときは「自分が格好いいと思う」。5)寒い時や雨・曇りの時に頭がズキズキと痛むことがある。頭を圧したり、温めたりするとよくなる。6)寒がり。7)好きな食べ物は肉類。まだ小学生だがコーヒーも好き。聞き取り後、選んだレメディ ナクス・ボミカ [Nux-v]ナクス・ボミカはポイズンナッツと呼ばれるマチン科植物の実から作られています。この実は昔から医療に使われることが多かったため、ハーネマンもプルービングを行いました。このレメディは現代という時代や「ストレスを抱える」現代人に適合しているため今ではもっとも使われることの多いレメディです。ナクス・ボミカタイプの子どもたちは個性が強く、自分の欲しいものをよく知っていて、何としてでも手に入れようとします。お腹が空いたら、すぐに食べ物を欲しがり、おもちゃが欲しくなったら、即座に手に入れたがるという具合です。とても野心的でどんな場合にも他人よりも自分の方がうまくできると思っています。何においてもベストであろうと努力を惜しみません。また自分のことは自分でしようとして、他人に依存することを好みません。日々のおきまりの仕事にはすぐ退屈し、何か挑戦できるもの、そのために戦えるもの、守らなくてはならないものをつねに探しています。他人の反論に耐えられず、いつも思い通りに物事を進めたがります。<中略>神経系統が非常に敏感です。多くのことを引き受けすぎたり、心配事や緊張感を処理できないと、重い病気になることがあります。とくに胃腸系に問題が生じやすくなります。燻製された食物、脂肪の多いもの、苦いものが大好きです。大人になると緊張をほぞすためにアルコールやコーヒーを必要としますが、多飲するとアルコール依存症になったり、コーヒー中毒になることが多いので避けたほうがよいでしょう。レメディ投与後の様子L美ちゃんは耳の聞こえがよくなり、突発性難聴はなくなりました。志望校にも見事に合格し「中学校に入ったら。あれもこれもと欲張らずに本当に好きなことにじっくり取り組みたい」と話してくれたのが印象的でした。これまでは気を留めたことがなかった道端の草花が最近はとても気になるそうです。「華道やフラワーアレンジメントなどこれまで自分がやるなんて考えたこともなかった。部活でやってみたい」と話してくれました。難聴がなくなり、精神面でも成長が感じられたので、セッションは一回で終了しました。